DA2021住宅部門|金賞

玉川の町屋

設計:甲村健一/KEN一級建築士事務所
撮影:鈴木研一


光を廻し、空間を連ねる

都心に建つ住宅の設計である。間口6m×奥行20mと南北に長く、東西に隣家が迫る敷地において、南北からの採光をどのように内部へ廻すかが主題となった。本計画では全体を間仕切り壁の少ない一体空間とし、内部に垂壁やフィンといった面の要素を光の方向に沿って挿入した。面には凹凸や光沢のある仕上げを用いることで、素材の陰影と反射がグラデーションのような光の濃淡を生み、南北に連なる空間の魅力を引き出す。特にLDの中心にはタイルの衝立を設え、暗くなりがちな建屋中央でも、タイルに反射する淡い光の表情を感じられる。面の構成が壁という建築的要素に留まるのではなく、空間に光を映し込むアートへと昇華できたと思う。

使用品番


エリアボーダー彩 LB-9742