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TILE TREND COLUMN #18

ヴェネツィアから見るタイル〈後編〉

Venice as a source of inspiration

インスピレーションの源となるヴェネツィア

ヴェネツィアは、2年に1度ヴェネツィア・ビエンナーレ(La Biennale di Venezia)が開催される現代アートの街でもあります。(ビエンナーレとはイタリア語で“2年に1度”という意味)1895年に始まったイベントで、世界中から芸術家や芸術愛好者が一堂に会する現代アートの最先端を探求する芸術の祭典ともいえます。開催は2年に1度の5~11月頃で、現代アートを広く紹介し、芸術家たちに国際的な交流の場を提供しています。美術、建築、音楽、演劇、映画、舞踊の多岐にわたる部門があり、参加国が自らのアートを世界に発信し、異なる文化や芸術表現を紹介する場として重要な位置付けとなっています。展示作品は多様性に富み、芸術の最前線を体感することができます。ビエンナーレの会場は、ジャルディーニ地区(Giardini di Castello)やアルセナーレ地区(Arsenale)などで、アートと歴史的な建造物が交差する場として訪れる者にインスピレーションを与えます。


2023年開催の第18回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展 日本館

内部中央(日本館のキュレーターは建築家・大西麻貴氏が務めた)

吹き抜けの空間を彩るモビールは、水野太史氏がデザイン・制作した

5つ星ホテルのカサグレドホテル(Hotel Ca' Sagredo)を支える巨大な手。2017年開催の第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展のために、イタリアの芸術家 ロレンツォ・クイン氏が制作した作品。

Mappatura, a new collection that evokes the city of Venice

ヴェネツィアの街を想起させる新コレクション、マッパトゥーラ

マッパトゥーラ / Mappatura NEW

マッパトゥーラは、ヴェネツィアのブレッチャストーン(角礫岩)や街中の現代アートからインスピレーションを受けて開発されました。伝統的な石の優美さの中に、現代的解釈でヴェネツィアへの回帰を表現しています。


壁:SGO-AC0420 床:1200×600角磨き(受注輸入色)

ブレッチャストーン(角礫岩)とは、異なる大きさ・色の岩石や鉱物の破片が自然のプロセスによって接着されて固まった天然石です。この特徴的な模様は、岩石の破片が互いに組み合わさり、新たな岩石として形成されることから生じます。破片はセメント系の物質によって結合され、しばしばカラフルで複雑な模様を生み出します。ブレッチャストーンは産出する地域によって破片の種類や色、質感が異なるユニークな特性を持っていることから、自然が生み出したアートワークとして価値があり、その独特な風合いはラグジュアリーな空間演出において存在感を放ちます。また、建築物の装飾材料や彫刻材料としても高く評価されており、インテリアやエクステリアのアクセントとして使用されています。


サン・マルコ大聖堂の西側中央ファサード

緑色のテッサリア角礫岩

ヴェネツィアン・ブレッチャストーンの使用例として、サン・マルコ大聖堂があげられます。1204年の第4回十字軍のコンスタンチノープル(現イスタンブール)征服後、ヴェネツィアは東ローマ帝国の首都コンスタンチノープルの聖堂や公共建築から大量の貴重な大理石を手に入れました。これらはサン・マルコ大聖堂の装飾に使用され、特に赤色のポルフィード(斑岩)が帝国と神聖な権力の象徴として重用されました。さまざまな色や特徴を持つ大理石が象徴的な意味で使用され、ほとんどが内装や礼拝用家具に再利用されました。これらの石材は、ヴェネツィアの政治的な偉大さや栄光を強調する目的で使用され、特に内部のドージェの壇(ambo)や宝物庫の角、西側ファサード中央扉の装飾に見られます。皇帝が使う大理石は色によって階層化されており、最高位は赤色のポルフィード(斑岩)で、2番目は緑色の大理石(サン・マルコ大聖堂では細部に使用されている蛇紋岩やテッサリア角礫岩など)、3番目は白色と黒色のアキテーヌ角礫岩です。テッサリア角礫岩とアキテーヌ角礫岩は石棺や覆い板などに使用され、アキテーヌ角礫岩はサン・マルコ大聖堂の西側と南側の正面ファサードの柱軸にも見られます。テッサリア角礫岩は柱軸だけでなく、北の祭壇などの礼拝用家具にも使用されています。


赤色のポルフィード(班岩)や緑色のテッサリア角礫岩、白黒のアキテーヌ角礫岩

祭壇の柱

緑色のテッサリア角礫岩

脈模様が入る大理石は脈のパターンを利用して装飾に使用された。例えばグレーの脈模様が入った白いプロコネシオの柱は脈の水平パターンに基づいて対称性を尊重するように配置され、壁面は大理石のスラブがジグザグや菱形の幾何学的装飾を形成するように切断して使用されている。

New Technology
Nat-Plus Technology(ナット・プラス テクノロジー)

マッパトゥーラの平は、表面が乾いているときは滑らかでソフトな手触りですが湿潤時には滑りにくくなる最新技術 “ナット・プラス テクノロジー”が施されているのが最大の特長です。1つの面状で異なる2つの特性を兼ね備え、天然石のディテールや手触りを驚くほど自然に再現しています。磨きは特殊な研磨技術が施され、クリスタルのような透明感と深い輝きが特長です。


ナット・プラス テクノロジーが施された平面状

クリスタルのように深い輝きを持つ磨き面状

3色のヴェネツィアン・ブレッチャストーン

色は、最新のデジタルプリント技術で実現した審美的に優れた3種類、ゴールド、エメラルドグリーン、ダークブラックです。サイズは1200×600角と汎用性の高い600角の2形状を揃えており、シームレスな空間作りにも最適です。


Gold 0410(平)・0510P(磨き)

Emerald 0420(平)・0520P(磨き)

Dark Black 0430(平)・0530P(磨き)

Colour - Gold

ゴールドは3色のなかでも極めて豊かで洗練された色であり、ヴェネツィアン・ブレッチャストーンを現代的な斬新さで解釈した色といえます。この温かみのある色合いはトレンドのテラコッタとも相性が良く、空間に落ち着きのある魅力をもたらします。


カラー0510P(1200角磨き 受注輸入形状)

Colour - Emerald

エメラルドグリーンのヴェネツィアン・ブレッチャストーンは木などの異素材と非常に相性が良く、魅力的なコンビネーションを生み出します。木の温かみとブレッチャストーンの鮮やかな色合いが互いに引き立て合い、空間全体に上品さと豊かさをもたらします。


カラー0520P(1200角磨き 受注輸入形状)

Colour - Dark Black

ゴールドなどの華やかなインテリアとダークブラックのヴェネツィアン・ブレッチャストーンの組み合わせは、空間の優美さを最大限に引き立てます。汎用性の高いダークブラックは、モダンでエレガントなインテリアにおいて特に効果的であり、空間に深みと高級感を与えます。ミニマルやレトロなスタイルとも相性が良いため、幅広いデザインコンセプトに適用することができます。


SGO-AC0430

ヴェネツィアは景観の美しい水の都としてだけでなく、芸術と文化の都としても、その豊かさと奥深さで多くの人々を魅了し続けています。歴史と浪漫に満ちたこの街は、一度訪れたら誰もが忘れられない世界の至宝といえるでしょう。


サン・マルコ広場の鐘楼から望むヴェネツィアの街

 
 

2024.4.5