CAMPUS VILLAGE 元住吉
株式会社 to-ripple
建築設計:株式会社フォルム建築計画研究所 内装/外観デザイン設計監修:株式会社to-ripple 撮影:エスエス東京
切り方を変えるだけで、違うものに見える。オナマのレンガをナナメに“CUT”し積み上げる事で、凹凸感の異なる面白いファサードになる。学生レジデンスのエントランスにおける壁の演出として使用した。豊かな凹凸感が、アイストップとしてお出迎えする印象的な壁となり、外出するときの送り出す優しい壁となる。異なる見え方をする1枚の壁がこの学生レジデンスを形作る。リーズナブルな素材しか使えない学生レジデンスにおいて、本物を感じてほしいという意図と、同じ素材であっても“CUT”の仕方で今までにない見え方が可能だということを目指した。学生たちにも、物の捉え方を変えると、今までとは異なる見え方があるということを感じてもらえればと思う。
全体の応募作品の中でも数少ない、製作方法まで含めた提案である。オリジナリティ溢れる壁面ができることはもちろん、加工によって捨てるものが全く発生しない手法であることも素晴らしい。レンガという立体的な素材の特徴もよく活かされている。利用された面積自体は小さいが、大変すばらしい挑戦だと思う。ぜひ今後もこうした視点を持ちつづけてほしい。
芦屋の邸宅
株式会社 デザイングラウンド55
「ペトラエ」屋外床・浴室壁・浴室床
T様邸
住友林業株式会社 高松支店
麻の葉の持つ、様々なテイストに対応できる特色を活用し、デザイン張りを行いました。施主も仕上がりには喜んでおられます。(写真:住友林業株式会社 斉藤 鷹輔 様)
意外かつ大胆である。各空間の壁一面にタイル「麻の葉」がグラフィカルに貼られている。日本的なイメージの図像が描かれているが、かといって、和紙や左官で仕上げるほど和風ではなく、モダンさも感じさせる。置かれている調度品とタイルが必ずしも調和しているわけではないが、ドット化された抽象的なグラフィックを描けるというタイルの特性を引き出している点で、審査時に評価が集まった。特に、審査員長アストリッド・クライン氏のイチオシであった。
gap
株式会社 CURIOUS design workers 一級建築士事務所
敷地内の高低差が6mある傾斜地の形状を活かして1階床レベルを2層に設計し、天井ラインを合わせることで天井高3.8mのダイナミックなLDK空間を実現した。また高低差により道路面からの視線を排除し、プライバシー性の高い空間を実現させた。LDKのスケール感に合うように家具や照明のインテリア要素を大きくしてバランスを取り、全体を素材感のあるグレー色の塗り壁やタイルでコーディネートした。LDKから続く屋外テラスの床タイルを統一し、屋内と屋外の境界を曖昧にしながら広がりを持たせた。また、2階の浴室から続く脱衣室はフィジカルメンテナンスの場所として5帖のスペースを確保し、床のタイルでデザイン性を高めている。
大きなグレートーンのタイルが静かな空気感をまとうスペースにシームレスに溶け込んでいる作品。アンティークのフレスコ画に触発されたような模様の大きな四角いタイルはランダムに空間中央に配置され、その存在感が美しく際立つのも、スペースと完璧に調和しているからと言えるでしょう。優しく淡い色調にまとめたそれらのタイルは、ニュートラルなトーンの部屋に温かみをもたらし、一瞬ラグかと思ってしまうほど! 地味とも捉えられるプレーンな空間に対して、非常にエレガントなアクセントを加えています。
ピアース南麻布
有限会社 文田昭仁デザインオフィス
造形的シナリオがある。“1階エントランスは上層階の重みで圧縮され、密度のある石質の白と黒の金属質の塊から成り、その塊から削り取られて残ったボリュームの複合体が内部空間と外部空間を同時に生成する。塊と塊の間からは光が木洩れ日のように差し込む。”と、云うものである。 具現化、素材選定にあたっては機能的、合理的根拠が重要であるのと同時にシナリオに沿った在り方を実現できるものでなければならない。白い塊から削られ残った面の床、壁の表現においては素材の強度、ディテールレスな加工を可能にし、柔らかく光を反射させるマットな表情を実現できるもの、それがセラミックタイルであった。
デザイナーが恣意的に決めた造形や色彩よりも、極力加工されていない剥き出しのマテリアルをゴロっとした大きな塊のまま使う。それが現在の空間デザインの潮流であり、時代が求める雰囲気だと言える。「ピアース南麻布」は、石質系の素材と金属系の素材で用いて、そうしたデザインを実現しているように見える。 また、ルーバー部分には、一般的には木材やスチールを使いそうなところだが、加工性を活かしてセラミックタイルをカットして使用している。それが繊細さを生み出しており、使い方に新鮮さがあった。
長倉さんの家
一級建築士事務所 青木設計事務所
この家は、玄関に入ると中庭に出ます。 タイル敷きの土間の中庭です。 タイルの土間は、家の内と外をまたいで大らかに家の奥までつながっていきます。 縁側を立体化したような居心地のこの空間は、来客をおもてなししたり食事をしたりする外の部屋となります。 昔ながらの日本家屋の形態を持つ本住宅に合わせて、石や土の表情を合わせ持つタイルである「ラバーニャ」を選びました。 タイルという材料を使うことにより、アウトドアとインドアをまたぐ新たなライフスタイルを叶える住まいとなりました。
タイルを使った住宅は、いかにも豪邸といった雰囲気のものも多いが、ここでは親密で日常的な豊かさをタイルによって生み出している。通り庭に用いたタイルは、外に設置された第2のリビングのようでもあり、しかもその仕上げを玄関の土間まで延長させることで、限られた敷地に非常に伸びやかな空間を作り上げている。装飾とは真逆の、空間全体の中でのタイルの役割を突き詰めた作品だと思う。
本宿旧代官屋敷
+ ak design 一級建築士事務所/有限会社 松永和廣設計事務所
柴田家家臣として代官を務め、維新後は代々医業により地域に貢献してきた旧家である。文政建立の文化的・技術的価値を保存するにとどまらず、新たな人の流れ・価値観・意匠性を創出すべく、医療交流・イタリアンレストランの機能を取り込むプロジェクト。メインの土間空間は、新たな意匠・伝統技巧を浮かびあがらせる揺らぎのある「ラバーニャ」を配し、落ち着きと重厚感を求めるカウンター席には真鍮のインテリアと呼応する焼き・錆の味わいの「コンテクスト」がエイジング感を強めている。(歴史的風致形成建造物 指定)
「コンテクスト」カウンター席 床
人口減少や地方過疎化の時代に、地方に残された古民家をどのように利活用していくかは、日本の建築関係者にとって課題の一つだろう。このプロジェクトは、上を見上げると、大胆に露出した柱梁の架構が屋敷の魅力を表現しつつ、しかし、足元を見ると、タイルが空間に現代的な雰囲気を添えている。色味やサイズの異なるタイルを用いることで、人間的な不均質さを生み出している。古民家改修におけるタイル利用として、今後の参考になるだろう。
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