TAOYA日光霧降
株式会社丹青社
設計 株式会社丹青社 眞田章太郎
山岳の隠れリゾート
日光霧降の山奥にひっそりと佇むTAOYA日光霧降。山遊びや山岳リゾートの醍醐味をギュッと凝縮。「山岳リゾートらしさ」を直感で感じられる柄をグラフィックで表現し、館内のポイントとなる場所に内装デザインとして取り込んだ。特にレストラン内のアルコールカウンター腰にはそのグラフィックを細かいモザイクタイルで表現し、艶やかな上質空間を構築。建築竣工当時のシャンデリアのパーツを再利用するなど、ロバート・ヴェンチューリが遺した建築の脈略を大事にしつつ、新たな息吹を吹き込むことに成功した。
「アートモザイク施釉10角」特注デザイン
リゾートホテルのリノベーション。著名な建築家による強い特徴を持った既存建築の文脈を継承し、新たに「山岳リゾートらしさ」を加え、新旧の交差する一体化を今の世界観として表現していることは興味深い。新たに挿入したグラフィックパターンは過去と現在の中間を感じさせる。天高のホール、そのセンターに存在感あるホールカウンター。その腰壁全面に新たなグラフィックパターンが繊細なモザイクタイルワークによって存在をより特徴的なものとしている。リデザインした竣工当時のシャンデリアと組み合わせ、「隠れリゾート」の象徴のひとつとして感じられる。(五十嵐久枝氏)
TOILET 日建設計東京本社トイレ改修
株式会社日建設計
白モザイクタイルと目地色の掛け合わせから多様な表情を引き出す挑戦
会社のトイレを、「誰が使うか」ではなく「どう使うか」に着目し、3種類のテーマ(Relax/Refresh/Styling)をもつ個室型トイレに改修した。改修前の男女トイレに比べ、アップグレードしたものでなければ、多くの人に利用されるトイレとならない。そこでタイルの上質な素材感を用い、ホスピタリティの高いトイレを生み出すこととした。各個室は白いモザイクタイルをベースとすることで曲面などを表現し、異なる艶感のタイルと絵画の顔料で調色した目地を組み合わせた。照明や香りの演出とともに3つのテーマに応じたトイレ個室を創出した。最小限単位とも言える15mm角タイルにより、無限の表現が可能であることを示した。
壁/「ロザリア」ROS-50・52
目地/「アートパステルメジ」AMJ-P00(顔料調合)
タイル目地に、うっすらと色をつけることで、シンプルな白のモザイクタイルを特別なものに感じさせるプロジェクト。特徴ある目地の色は、オリジナルで調色されたそうです。淡い目地の色がタイルの艶のある白の釉薬に反射し、色を纏った空気がそっと浮かんでいるような、不思議な空間を生み出しているのが魅力的でした。タイルそのものでなく、目地を工夫するというアイデアにさらなる発展の可能性を感じました。(大西麻貴氏)
Subcultural Retreat with a Kick
株式会社designFreak 松浦 光宏
協力 コクヨ・TokyoDex 施工 森ビル・礎コラム 撮影 見学友宙
非日常的体験とアートに包まれた新しいオフィス像
クリエイターたちが集まり、個性やアイデアを享受できるプラットフォームとなるべく、従来のオフィス像から逸脱した新しい表現を目指した。アジア、混沌、サイバーパンク等のワードを基に、オフィスを多種多様な才能が集まる都会の姿と重ね合わせ、アートやネオンによって彩られたRetreat 「隠れ家的空間」を設計している。壁面素材はセメントボード、タイル、パンチングメタルで構成されている。一つ一つの質感が異なるタイルはそれだけで空間を彩る主役となり、また周りの魅力を引き立たせる脇役にもなる。その両特性を活かすべく、ネオンと組み合わせることで、光沢のあるタイルとの反射が全く新しい非日常的な表現を作り出してくれた。
壁/「クロジョーロ」MRZ-F7000
什器/「クロジョーロ」MRZ-F7020
キッチンスペース/「オニックスガラスモザイク」OV-T2556
ゲーム関連企業のオフィスであり、創造性や新しさ、そして社員への刺激が求められる空間だ。そこで、このオフィスには、たくさんの現代アート作家による壁画とネオンアートが用いられている。光沢感のある白いタイル「クロジョーロ」が張られた空間は、そうした非日常的でクリエイティブな空間へアプローチする通路である。カーブして先の見通せない通路で目に入るのは、タイルに妖しく反射するネオンの光だけ。これが、社員や来客をワクワクドキドキさせる。キッチンに張ったデジタルドットのようなタイルも、空間のコンセプトに合致している。(塩田健一氏)
薬師温泉
atelier SALAD
企画・設計 atelier SALAD グラフィックデザイン PRISMIC DESIGN カフェディレクション Hirotaka Fukunaga
照明計画 Filaments inc. 植栽 Weru Landscape 施工 DESIGN OFFICE SHIROYAMA+中央建設株式会社 撮影 Kenta Hasegawa
地域に開かれた公衆浴場
大正8年創業の公衆浴場を改修した。私達は、地域に開かれた愛され続ける公衆浴場を作りたいという施主の想いに正面から応対し入浴のために“行く必要があった場所”から、“わざわざ訪れたくなる場所”へ転換することを試みた。隣地公園の延長としての“土の塊”に包まれるように公衆浴場のアイコンである“番台”を、浴場ならではの素材である“タイル”で覆い室内から屋外へと、シームレスにはみ出すように設えた。番台、浴室共に、あえて土色に近い1種類のタイルをケレン味なく用いた事で、日常の安心感が生まれた。大きく開いたファサードは、様々なコミュニケーションの舞台になっている。早くも生活の一部として愛され始めている。
壁/「スタンダードパステル」N-45-22A・107
床/「マキアーラ」MAC-150-04・05
街に開かれたファサードまわりのデザインから、この公衆浴場が、地域のコミュニケーション拠点であろうとするオープンな姿勢が感じ取れる。まるで土を掘り込んで洞窟にしたかのようなファサードから、番台カウンターと縁側席が迫り出し、そこで自然なコミュニケーションが生まれそうである。このカウンターには浴室内と同様のタイルが張られ、それが内外の連続性を感じさせると共に、ここが公衆浴場であることも示している。タイルが、さり気ないサインの役割を果たしている点にも感銘を受けた。(塩田健一氏)
茶心の宿 和楽園 客室_朧月
株式会社井上輝美建築事務所+都市開発研究所
施主 茶心の宿 和楽園 設計・現場監理 株式会社井上輝美建築事務所+都市開発研究所
施工 五光建設株式会社 撮影 杉本圭
老舗旅館の挑戦、伝統と斬新が融合した新しい宿泊体験へ
老舗旅館として多くのファンがいる旅館ですが、新規ターゲット層の顧客獲得のため、従来の旅館のイメージを打破する客室を作ることを目的として、この計画が始まりました。従来の旅館客室要素である水屋、畳、障子戸などを残しつつ、素材(マテリアル)や空間構成を改変することで、従来の旅館とは異なる宿泊体験ができる空間を目指しています。この空間には、地元の窯元から提供いただいた陶片を用いて作られた円形のアートワークがあります。このアートワークを、燻したような鈍い反射面を持つ「クラントル」を床材として使用することで、湖面に映る朧月のような幻想的な雰囲気を演出することを試みています。
床/「クラントル」KRA-630-500
カウンター/「ロンメル」LOM-02
洗面室壁/「オルモナ」OLM-2249-520
老舗旅館における特別な客室である。黒いタイル「クラントル」の光沢感という特質を魅力的に引き出し、夜の水面に月明かりが映っているような、幻想的な風景を生み出している。このタイルは、客室の床全面に張られており、室内に温泉街の路地のような雰囲気を生み出している点も魅力的である。なお、月のように輝く壁面アートワークは「地元の窯元から入手した陶片」ということで、光るアートも、その鏡像も、どちらも焼き物だったのだ。こうした重層的なストーリー性にも感銘を受けた。(塩田健一氏)
いろりや炉場人
株式会社design work 五感plus
設計・施工 株式会社design work 五感plus 撮影 石橋マサヒロ
高級感のあるレトロ
沖縄県屈指の飲み屋街、久茂地に県内初の囲炉裏カウンターの店を構えるというオーナーさん。時間が経ってもフレッシュな印象を与え続けられるよう 「高級感のあるレトロ」をテーマにデザイン。ファサードには、昔懐かしい雰囲気を残しつつ高級感も演出できる、釉薬がたっぷり使用されたタイルを使用。縦張りにすることで上品かつ目を惹くデザインに。店内にもファサードと同じタイルを使用。二丁掛をメインにすることでより親しみやすい雰囲気に。囲炉裏の周りには、抜け感と、お客様のお食事を大切に温めるという意味を込め六角形(ハニカム構造)のタイルを使用。高級感と親しみやすさを兼ね備えたデザインでクライアントにも喜んでいただけました。
「ひだS」HST-202S・HSN-1202S
「デスポート」DES-30W
日暮れにこの店の前を通りかかると「きっと美味しい店」そう感じさせてくれるファサードである。ツヤたっぷりの釉薬タイルと炭火の囲炉裏の組み合わせは、上質な和食店であると感じさせる。深くDNAに刻まれ、素材とは、もはやそのスイッチになるのかもしれない。美味しいという感覚は脳に直行してしまう。張りパターンの切り替えも気分を高揚させそうだ。縦張りのファサード、二丁掛の店内壁、六角タイルの囲炉裏まわり、食の背景としてパターンは有効である。(五十嵐久枝氏)
グットマン アメニティスペース
株式会社KAMITOPEN一級建築士事務所
デザイナー 吉田昌弘 田丸明日香 撮影 宮本啓介
海と自然と
近年物流倉庫の需要は高まっており、そこで働く人の数も飛躍的に伸びている。就業者は一日中倉庫内で過ごす場合が多く、働く人のリフレッシュする空間が求められている。今回は、グッドマングループ本社のあるオーストラリアの「海と自然」を感じられるアメニティスペースを設計した。実際には天井面に加工したステンレスで波を作り空間を海面の中に見立てた。壁にも反射する材料を使用し、空間全体にゆらぎを感じられる設計をした。また、青海波と呼ばれる柄のタイルを用い、「広い海がもたらす恩恵を受け、無限に広がる波のように未来永劫へとしあわせが続く」という文様のもつ意味をオーストラリアと日本を繋ぐアイコンとし採用した。
「いちょう」ICH-002・005・006
ネットショッピング時代の今、重要度が増す物流倉庫という施設において、従業員のためのリフレッシュスペースに空間デザインで取り組んでいる点が興味深い。「海と自然」をコンセプトにした空間で、天井には、海面をイメージしたステンレスパネルを設置。壁面には、ゆらぎを感じさせる青い「いちょう」タイルを張り、上部からスポットライトを当て、海中に太陽光が差し込んでいるようなシーンを生み出している。階段の蹴込部分にもさり気なくグレーの「いちょう」タイルを張っているところも、粋である。(塩田健一氏)
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