ガナエ洋菓子舗
株式会社 saw design office
従来の常識に一切とらわれていないセラミックタイルの使い方に成功したプロジェクトです。単に外壁を覆うだけではなく、屋根の周りの欄干を強調するために使用されています。更に言うと、普段デザイナーはできるだけスリムにすることで注意をそらすようにしますが、ここでは、大きな球根状の形で屋根が目立つことにより、細かな白いセラミックタイルがより目を惹きつけ、美味しいお店の象徴的な看板になっています。繰り返しますが、通常私たちが黒いサッシ出窓を対照的な白いセラミックタイルで覆うことは考えないでしょう。しかしここではあえて視線を内部へ導くような完璧なフレームを形成しているのです。
両国湯屋 江戸遊
株式会社 久保都島建築設計事務所
コンストラクションマネジメント:龍 治男 益田 英明 森 正夫 / 佐藤総合計画 構造設計:今川 憲英 今川 聖英 / TIS&PARTNERS
設備設計:柿沼 整三 伊藤 教子 根本 晋吾 / ZO設計室 照明計画:杉尾 篤 グラフィック:粟辻 美早 粟辻 麻喜 / 粟辻デザイン
スタージュエリー 渋谷スクランブルスクエア店
株式会社 丹青社
1946年、横浜・元町に創業した「スタージュエリー」のリブランディングプロジェクト第一段としてオープンした渋谷スクランブルスクエア店。 店内中央には、新たな「象徴」となるメイン什器を計画。 その象徴に相応しい形を導き出す際に、まず人間にとっての宝石の原点とは何かを考えた。 その第一は「石を削る・磨く」という人の手による行為。 大きな石を削り出すように多面体でシルエットを構成し、表面を磨き上げた石の表情を持たせ、そこはかとなく「人の手による彫刻」を思わせる造形美を生み出した。 スタージュエリー創業当初から変わらない「クラフトマンシップ」の精神が宿る新生スタージュエリーの新たなアイコンとなっている。
まるで岩場から削り出した無垢の石材のように見える什器が、共用通路に向けて突き出している。店内には、石塊のような表情を持つタイルと、鋭角な造形が多く用いられており、「鉱物」や「きらめき」を連想させる。こうしたデザインが、「この店が宝石を扱う業態である」ということを直感的に表現しえている。什器が「無垢の石材」のように見えるのは、精緻な施工技術によるところも大きいだろう。この銅賞は、設計者へはもちろんのこと、施工者へも贈呈したい。
PICTORU みたかクリニック
高野俊吾建築設計事務所
画像診断により的確な診断を提供する整形外科クリニックである。 不安を抱えて来院する方に良好な内部環境を提供することを目的とし、吸湿・消臭性能を持つ自然素材の塗り壁を採用している。塗り壁には車いす・ストレッチャなどの衝突に対する保護のために丸形のモザイクタイルを施している。これはデジタルデータを駆使して医療に貢献する「PICTORU」のブランディングイメージである「ピクセル」をモチーフとし、強度を必要とする部分にドッドが集まり塗り壁が有機的に硬化する様子、”有機体の皮膚が進化する様”をイメージしている。 モザイクタイルを用いた有機とデジタルの表現、機能と意匠の統合により特徴的なデザインとなっている。
機能優先で、デザイン要素を盛り込むのが難しいクリニックにおいて、むしろ機能からデザインを引き出す、秀逸な作品。ピクセル状のタイルを集めたコーナーは衝突保護のためだが、同時にコーナーは、街の交差点のように、視覚的にも際立ち、施設全体の印象に大きく貢献している。サイン計画も同じピクセルを利用する徹底ぶりが、ちょっとした愛嬌あるポイントにもなっていて好感が持てる。
ST 曽根崎ビル
株式会社 MORI デザイン建築事務所
大阪市の御堂筋に面した立地に商業ビルとして存在感のある建物となるようなファサードを目指しました。 ガラス構成のデザインのビルが立ち並ぶ中で同じようなデザインでは埋もれてしまうので、重みのある下層部のデザインと少し軽くした上層部のデザインをタイルで構成しました。 ガラスをうまく使用することによりタイルの重厚感を生かしながらも重すぎないファサードができたと考えています。 下層部は特にこだわり、テラコッタを特注対応で型から起こして焼きました。 仕上がりについても「よい色幅」ができており満足しております。
「バレンシアボーダー」外壁
応募作の中で、比較的大きなビルの外壁にタイルを用いるという事例が少なく、「ST曽根崎ビル」は目立っていた。また、今の時代の流れとして、タイルを用いた空間デザインであっても、軽やかさやカジュアルさを志向したものが多いが、そうした中でこのプロジェクトは、重厚感や格調を表現するという、タイルの「王道」の使い方を行っており、その点でも目立っていた。特に、手間暇のかかったであろうテラコッタの特注タイルが強く印象に残った。
海沿いベンチ
有限会社 マイト
こちらのベンチは、淡路島の青い海と広い空が視界いっぱいに広がる個人様別荘のお庭です。 抜群のオーシャンビューを借景し、そんな贅沢な非日常をアートなタイルで製作しました。 材料には色も質感も味わい深いスペインタイルを採用し、電動工具を使うことなく職人が一枚ずつ全て手作業で小さく切断しながら張り上げています。 視覚的にも本来硬いはずのタイルを曲面に沿わせることで柔らかさを、円形のラインを幾重にも重ねることで飛び出すような奥行き感を、楽しんでもらえるように表現しました。 タイルが持つ力、タイルだからこそできるデザインで創ったこのベンチが、オーナー様がゆっくりと別荘ライフを楽しむ一助になれれば最高です。
このベンチが穏やかな海辺にたたずむことで美しい景色が広がることはもちろんですが、どんな環境に置かれたとしても見る人に喜びと明るい光をもたらすことは確かしょう。丸みを帯びたベンチには、丸い太陽、丸い花、丸い花火にも似た模様が描かれており、どれも人生の幸せな瞬間を思い出させてくれます。数え切れないほどの時間をかけて無数のモザイクタイルを手で切り、愛情を込めて組み立てていくという多大な労力を感じるこのベンチに、人は瞬時に恋してしまうのではないでしょうか。日本の海岸沿いにこのようなユニークで芸術的なベンチが点在したらどんなに素敵だろうと想像せずにはいられません。
TOUCH TO GO 高輪ゲートウェイ駅店
DESIGNESS®︎ inc.
商品をAIにより把握し手に取った時点で決済が完了する仕組みである日本初の無人AI決済レジ店舗です。クリエイティブコンセプトを「“Wander”= ふらっと “Wonder”= 驚き」としました。空間デザインは、全体的に黒色で構成しており未来に向かって発展し続ける潜在化された技術です。その圧倒的な技術の強さと無限に広がる宇宙のような暗然としたさまを天井の空間に、カメラで投影するデジタルピクセル化されたイメージを壁面のランダムなタイルパターンに、空間を見立てました。 小売業人手不足という社会問題の解決の糸口として、潜在化された働き方の解像度を高めたいという想いで空間性を企図しました。
新駅に誕生した、「無人AI決済レジ」を採用した店舗である。天井と棚に仕込まれた無数のカメラが、客が手にした商品を認識する。いわば、近未来型のコンビニエンスストア。こうした前例のない業態をデザインすることは、思いのほか難しい作業だ。そうした中で、この空間は、平行四辺形の黒いタイルを全面的に用いて、未来性、スピード感、テクノロジーといった店の特性を端的に表現しえている。今後、ウィズコロナ時代に、こうした「非接触」「非対面」の運営形式を採用する店は増えるのではないか。
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