タイルの名古屋モザイク工業株式会社

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TILE TREND COLUMN #14

継承されるラヴェンナの歴史と美

Italy - Ravenna
モザイクの街 ラヴェンナ


ラヴェンナの街並み

街全体が美術館のようなラヴェンナ

イタリアのエミリア・ロマーニャ州に位置する街、ラヴェンナ。イタリアの宝石とも呼ばれ、歴史的な街並みと美しい大理石とガラスのモザイクが、訪れる者を魅了し続けています。

街のあちこちでモザイクアートが見られ、まるで街全体が美術館のような雰囲気を醸し出している。

ガラス工芸品「ミルフィオリ(Millefiori)」がところどころに埋まっているものもある。イタリア語で「千の花」を意味し、その名の通り小さなガラスの花が無数に敷き詰められたような美しい模様が特徴。

アルジェンターリオ通りの、サン・ヴィターレ聖堂の入口からほど近い場所にある店「annafietta」。ここの窓辺には、訪れる者を長い間見つめ続ける猫(写真中央)が佇む。

ラヴェンナには、サン・ヴィターレ聖堂(Basilica di San Vitale)やサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂(Basilica di Sant'Apollinare Nuovo)など、多くの教会や宗教的建造物が存在します。これらの建造物には、キリストや聖人たちの物語が色鮮やかなモザイクで描かれ、空間全体が神聖な雰囲気に包まれています。


サン・ヴィターレ聖堂

ラヴェンナの至宝、サン・ヴィターレ聖堂

サン・ヴィターレ聖堂は6世紀初頭に建てられた約1,500年の歴史を有する教会で、ビザンティン美術の傑作としてその名を馳せています。独特なドームやアーチ、モザイクアートは、東ローマ帝国の建築様式を見事に取り入れており、聖堂の外観から内部までが一体となった建築美が、今もなお多くの観光客やアート愛好者を惹きつけてやみません。最も注目すべき点は、内部に入った瞬間に目の前に広がる、金や宝石のような輝きを放つモザイクアートです。特にアプス(半円形の後陣)部分には、キリストや聖母マリア、使徒たちがモザイクで荘厳に表現されており、まさに芸術の極致を感じさせます。ビザンティン美術の輝きとキリスト教の信仰が見事に交わり、まるで時間を超越したかのような美が堪能できるこの場所は、ラヴェンナの至宝と言えるでしょう。

金やエメラルドグリーン、サファイアブルーなど豊かな色彩と精緻なディテールが、モザイクに深みと輝きを与えている。

内部の床にぎっしりと敷かれた大理石モザイク。永い歴史の中で、ところどころ艶や丸みを帯びた大理石が味わい深い。

宝石のような輝きを持つ樹脂と、天然石を組み合わせた新商品
テソローネ / Tesorone NEW

イタリア語で“宝庫”を意味し、ビザンティン美術の輝きや神聖な雰囲気が息づいているかのようなコレクションがあります。今年の秋に入荷した「テソローネ」は、宝石のように輝く樹脂と天然の石材を組み合わせた表情豊かなモザイクタイルで、豊かな色彩と細長い六角形の緻密なディテールが最大の特長です。アクセントの金やグリーン、ブルーの輝きは、空間にエレガントな雰囲気をもたらします。また、美しさだけでなく、キッチンや洗面室などの壁で活用できる実用性も備えています。美と機能のバランスが絶妙に取られたデザインは、モダンなインテリアに新たな魅力をもたらすことでしょう。


海外施工例 CLS-R2340

海外施工例 CLS-R2350

海外施工例 CLS-R2320
CLS-R2300
CLS-R2310
CLS-R2320
CLS-R2330
CLS-R2340
CLS-R2350

サン・ヴィターレ聖堂の内部で注目すべき点は、モザイクだけではありません。この聖堂はブックマッチ・パターンと呼ばれる大理石の宝庫としても知られています。ブックマッチとは、まるで開かれた書物のような左右対称で美しい模様のことで、教会や宗教的建造物によく見られます。ビザンティン美術が持つ神聖な雰囲気や抽象的な美学を象徴するこの大理石の意匠が、広範囲にわたりさまざまな色とパターンで、サン・ヴィターレ聖堂の壁面に施されています。


ブックマッチ・パターン

東ローマ帝国の首都であるコンスタンチノープル(現イスタンブール)のアヤソフィアにも、多くの同様な装飾が施されており、中世には教会の装飾として貴重な大理石が争奪の対象となりました。例えば、ビザンティン帝国を征服したヴェネツィア人たちは金と同様に大理石を奪い、幾度もの大規模な修復工事を経て、アヤソフィアから奪取された大理石がヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂(Basilica di San Marco)を飾っています。イスタンブールに残った大理石も、ほとんどがトルコ人によって保護され、今もモスクと宮殿を飾っています。また、ドイツのカール大帝はアーヘンのパラタイン礼拝堂に紋章を捧げるためにローマから大理石を奪取しました。そして17世紀には、イタリア人自身も遺跡に残された大理石を使用してバロック様式の教会の壮大な内部を飾ったとされています。


トルコ イスタンブールのアヤソフィア

アヤソフィア内に施されたブックマッチ・パターン

ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂

ブックマッチ・パターンを先進技術で再現したコレクション
ブックマッチ / Book match

進化するセラミックタイルの印刷技術により、大判サイズでブックマッチ・パターンを再現したコレクションがあります。その名にふさわしいコレクション「ブックマッチ」は、1200×600角と600角の2形状と5色のラインナップで、現代の建築物に歴史と美のエッセンスを与えてくれます。


KIARAリゾート&スパ浜名湖 設計 株式会社竹下一級建築士事務所 撮影 髙橋菜生  CDS-X4710・X4820P・AC4821P-4

海外施工例  床:CDS-AC4720
壁:CDS-AC4830P・AC4831P-4

海外施工例  床:CDS-AC4831P-4
壁:カラー4830P(1800×300角 受注輸入形状)
CDS-AC4811P-4
CDS-AC4821P-4
CDS-AC4831P-4
CDS-AC4841P-4
CDS-AC4851P-4

薄くて大きなタイルは開発された当初、プレーンで装飾性の乏しいものがほとんどでしたが、印刷技術は進化を続け今や大理石模様が主流となっています。天然大理石は、実際に切り出してみないとどのような柄で現れるかわかりません。(それが面白みでもありますが。)また、大判サイズになると厚みが必要となり、切り出す作業や運搬作業でも膨大なコストがかかります。厚みが薄く強度があるタイルの場合も、サイズが最大3mとなると扱いが大変で一定のコストがかかりますが、天然大理石の比ではありません。近年目まぐるしく進化するセラミックタイルの技術によって、かつては争奪されるほどに貴重だった天然大理石の切り出し模様がセラミックタイルに置き換わり、比較的手軽に「邸宅感」を楽しめるようになりました。


DA2023住宅部門ファイナリスト「M邸」 設計・施工:積水ハウス株式会社 岡山支店  CDS-X4810P

歴史的な建造物は時を超えて私たちに語りかけ、今もなおその美しさが色褪せることはありません。歴史と美しさを継承し、さらに機能性を兼ね備えるセラミックタイルは、さまざまな使われ方をされながら、現代のインテリアデザインにおいて新たな可能性を広げていくことでしょう。

 
 

2023.12.21